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昭和13/1938
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作詞 紫野為亥知
作曲 大村能章

故郷出でて一年を
戦の庭に起き伏して
また襲われぬ熱地獄

大地は灼けて目は眩み
火の砂燃えて面を灼く
沈黙の息の凄まじや

痩せたる馬の項垂れて
吹く汗白く塩と凝り
砲車は灼けて触れ難し

頼む水筒既に枯れ
命の水の一菊を
求むる家の当ても無し

去年の夏は長城に
敵も味方も渇き果て
谷間の水を争いぬ

縦隊厳と声も無く
雄図の誓い踏み締めて
遥かに睨む武漢の地
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作詞 森川幸吉
作曲 鈴木哲夫

誰が立てたか日の丸の
旗は名誉を語れども
見るに人無き大陸の
果ては祖国の空じゃ無い

沈む夕陽よ戦いの
跡は枯れ行く焼け野原
せめて照らせよ戦友が
変わり果てたる墓の上

遠く聞こゆる進軍の
戦友が喇叭に誘われて
過ぎし激戦を告げるごと
塚も動くか秋風に

君が白木の墓標
名さえ薄れて読めぬとも
日本男児の忠魂に
熱き涙で額づかん
作詞 西元静男
作曲 杉山長谷雄

雲に聳ゆる富士の嶺
朝日に匂う桜花
天地の正気澄むところ
ああ美しき大日本
謳え我等のこの誇り

建国二千六百年
天津日嗣の揺ぎ無く
君臣の義と父子の愛
ああ花と咲く大日本
謳え我等のこの団欒

一億万の同胞が
正気と愛に手を組みて
見よひるがえす日章旗
ああ勇ましの大日本
謳え我等のこの護り

進取の理想灯と翳し
躍進止まぬ国民が
興す国運隆々と
ああ栄え行く大日本
謳え我等のこの力

世紀の不安募る時
光は昇る大亜細亜
平和の楽土永遠に
ああ築き行く大日本
謳え我等のこの使命
作詞 吉沢広
作曲 長津義司

寂しき驢馬の嘶きに
遠く聞こゆる砲の音
守る保塁に銃執れば
凍る夜空の流れ星

静かに明くる大陸の
五薹山の朝ぼらけ
一つ残った明星の
空の彼方よ故郷よ

月を越しても来ぬ文を
恋しと思う故郷も
遠く離れて幾山河
北支の空も雪となる

鑛油の灯影仄暗き
仮寝の舎の語り草
戦の庭の勇士等も
尽きぬ噂は国の事
作詞 川島実太郎
作曲 成田為三

都に遠き春なれど
汚れを知らぬ花の里
とく起き出でて耕せば
霞に高き揚雲雀

露振り零す夏草に
牧場の風邪の明るさよ
働く今日の喜びに
嘶く駒の脚軽し

秋の実りの数々を
収め終わりて休らえば
納屋の庇に柿熟れて
初雁渡る嶺の空

深雪降り積む冬の夜は
語り尽きせぬ囲炉裏端
僅かながらの蓄えも
楽しき窓のほだ明かり
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