北京だより

作詞　佐藤惣之助
作曲　山田栄一

坊や達者で待っとるか
第一線の父さんも
元気で再び懐かしい
北京のお城へ帰ったよ

戦闘帽子を血で染めて
真っ先越えた大黄河
父さん得意の肉弾で
徐州も見事に陥したよ

我が日の丸はお父さん
五色の旗はお母さん
支那の子供が「君が代」で
僕等を迎えてくれました

ここは平和な紫禁城
お屋根の瓦も黄金の色
電車もチンチンやってるし
駱駝ものこのこ歩いとる

も少しお待ちねえ坊や
父さん戦地へ引き返し
漢口重慶打ち破り
世界記録を見せようよ

戦場子守唄

作詞　佐藤惣之助
作曲　服部逸郎

ねんねんよい子じゃ寝てくれよ
ねんねの親達どこへ行った
抱いて寝よにも戦場は
男ばかりで乳は無し

ねんねん寝てくれ良く寝たら
慰問のミルクを貰ろてやろ
わしも故郷じゃ人の親
可愛い乳飲み子置いて来た

ねんねんよい子じゃ寝てくれよ
おじさん戦争にゃ出て来たが
天使を見たよな赤ちゃんが
何で憎かろねんねおし

葉かげの墓標

作詞　南條歌美
作曲　宮脇春夫

高梁繁る広野の果てに
風に晒され雨に濡れ
墨の文字さえ薄れ行く
若き勇士の墓標

故郷に残る戦友の母
愛し我が子よ国の為
良くぞ死んだの手向け文
墓に捧げて我も泣く

雄々しき姿今いずこ
鳥は遥か海越えて
恋し故郷に帰るとも
君は広野の草の陰

鬼神を泣かす忠烈の
戦友の御霊に額づきて
俺も泣くから君も泣け
ああ江南の月の夜半

月下の歩哨

作詞　松坂直美
作曲　島口駒夫

今宵太湖の片畔
銃を片手に歩哨に立てば
月に故郷が偲ばれる

坊や無事かよ元気かよ
写真見る度笑顔が浮かぶ
風邪をひかすな頼んだぞ

村の祭りももう近い
さぞや今頃忙しかろう
幼馴染が目に浮かぶ

去年故郷を出る時に
死なば共にと誓いし戦友よ
今宵この月どこで見る

黄塵を衝いて

作詞　徳土良介
作曲　能代八郎

どこまで続くか荒野路を
ああまた荒ぶか黄塵よ
火を吐く矢玉にゃ泣かぬ身も
果て無き荒野にゃ泣けるぞや

不憫や！愛馬は傷付きぬ
無念や！湛える水は泣く
切なや！頼りの乾パンは
一切れ！二切れ！ああ三切れ！

軍靴も破れて血に染みぬ
兜も苦熱に塩吹きぬ
求め樹立の蔭は無く
ただただ黄塵荒ぶのみ

草生す屍は予ねてより
覚悟の銃執るつわものも
故郷の便りは欲しいぞや
母者の頼りは欲しいぞや

或いは木の根にまどろみて
或いは野末に草を噛み
幾日幾夜さ越えたけど
敵陣まだまだ見えざるか

黄塵万丈荒ぶとも
炎熱百度を越ゆるとも
我等は断乎と進撃す
極東平和のそが為に